総合人間はねたとも

京都大学総合人間学部生が送る、総合人間になるまでの軌跡

スパイシーに生きる!!!【noteに移行しました】

お久しぶりです、はねたともでした。

この度、インドに行って人生変わってしまい、「スパイシーつばさ」として活動することとしました。

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文章を書くのが好きで、大学生ブログを読むのが好きで、はじめたのが「総合人間はねたとも」

マイペースに更新し、ずっと書きたかった「総合人間学部とは」の記事は、約2万PVを達成。本当にありがとうございます。嬉しい。

hanetatomo-sojin.hatenablog.com

受験時に、生の声が少なくて本当に困ったから、あの時の僕のように困っている人に届いてたらいいな。

実際何人か総人入学者に「記事見ました!!ありがとうございます!!」って言われたりもした。書いてよかったなあ。

 

しかし、怠惰な性格が災いして更新は停滞。

4回生になって、ちゃんと卒業前に伝えたいことを伝えたい。

そう思って、けじめの意味も込めてnoteに移行しました。

 

このブログはこのまま残します。
今までありがとうございました。これからも「スパイシーつばさ」をよろしくお願いします!!

 

自分のおすすめ記事を最後に貼って終わります。

hanetatomo-sojin.hatenablog.com

経済成長だけじゃない「豊かさ」に気付かされた、オルゴール博物館での思い出。

書くって、いいね。

【総人生インタビュー vo.1】旅行を極めすぎて国家資格取得!?行動派総人生が語る、総人とは

京都大学総合人間学部、略して総人。京大生すらその生態は謎という究極の謎学部である。

hanetatomo-sojin.hatenablog.com

そこで総人大好きはねたともが総人生のリアルな姿をインタビュー!初回はこの方。

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Azu

奈良出身奈良住みの総人新2回生。旅行が大好きすぎて合格率10~20%程度*1の難関国家資格、「総合旅行業務取扱管理者」に1発合格。高校時代は文化祭と陸上に励み、ラジオのパーソナリティも経験。地理が好きで文化環境学系志望。アイコンが金魚なのは地元の大和郡山市が金魚養殖量日本一であることから。

なんで総人?

――なんで総人に来たの?

Azu:通ってた中高一貫校が色々な体験をさせてくれる学校だった。修学旅行は沖縄と北海道に行ったし、高校の時にはオーストラリアにホームステイした。そん中で社会って色々な職業の人がおるんやなって気付いて。高校で将来の夢決めろとかよく言われたけど、それを決めるのが怖くなった。それやったら今決めんくても大学でもっと色々な社会を知ってから決めればいいやと思って、大学に入ってから決められる総人に出会った。

総人はやりたいことを決めて来る人と、やりたいことを決めに入る人に2分される。Azuは後者のようだ。ちなみに筆者も後者である。

総人に入って良かった?

――で、実際総人に入って良かった?

Azu:めっちゃ良かったと思う。総人には色々な人がいる。中高も変人多かったけど、大学入ってこんな人おるんやって。Twitterがもうほんまに皆個性爆発しててやばかった。

――あー、カオスやったな。

Azu:皆ツイート多過ぎんねん。更新1秒ごとにしてもどんどんツイートが来るからさ。Twitter見てるだけで楽しいの初めてや。1回も会ったこと無い人でもツイート見て知れたし。最初の半年くらいずっと刺激強かった。自分は勉強面よりも人間面で良かったなと思ってる。

京大はTwitterが盛んだ。筆者もツイートしまくった1人である。今では落ち着いたが、帰省する度にタイムライン占拠の罪に問われていた。

――いいですねぇ、Azuは中高の時、変人とか言われてた?

Azu:言われたよ。

――大学では?

Azu:いや、言われへん。

――そうなんよ。僕も中高の時は変人扱いされてたけど大学入ってからはそんなに言われなくなった。なんかそれっておもろいなって。

Azu:中高の時は周りが常識人で自分が変人やったから偏差値が50じゃなかったけど、大学では変人の中に変人が混ざっても偏差値50やん。偏差値60なろうと思ったらもっとぶっ飛ばなあかん。

――確かに。でもそういう環境って心地よくない?変人とかいう眼鏡なしで自分を見てもらえるやん?

Azu:わかる。中高一貫の時は最初は皆個性持ってなくて6年間経つにつれて個性がついて変人になっていく感じやけど、総人の何がすごいって、入った途端から全員個性全開の変人なんよ。4年経ったらどうなんやろなっていうのが自分の今の楽しみ。

――なるほど。じゃあ大学入ってからやりたいことを決められるっていう側面で、総人に入って良かったことはある?

Azu:まだ全然変えれるやん?全国ほとんどの学部は専攻決めたらどんどん進んでかなあかんのに、総人は飽きたなって思ったらほいって方向転換できる。それって総人のすごいいいところやと思う。飽きても進まなあかん所ではない。

――せやな、東大の進振りも入ってから色々やった上で進路を決められるけど、それとはどう違うと思う?

Azu:別に、将来のこと考えるんやったら勉強だけじゃないやん全然。勉強以外の時間をたくさん作ってくれるってのが総人やと思う。進振りがあると絶対勉強しなあかんし。

総人は変人が多い。今までとはひと味違う人間との出会いは総人の醍醐味と言えるだろう。Azuもその一人だが、そのバラエティの豊かさはこれからのインタビューでさらに明らかにしていきたい。

 おもろい講義

――おもろい講義とかあった?

Azu:情報基礎演習統計入門は新入生に強くおすすめしたいかな。役に立つ。あと、前期は神経科学の基礎がめっちゃ面白かった。

――授業中にニコニコみたいにコメントが流れるやつな。

Azu:そうそう。後期はスポーツ心理学が面白かった。前半はスポーツの偉人の言葉を紹介して後半は心と体の繋がりとか運動ができるようになる仕組みを学ぶって感じ。で、講義の感想書けば終わり。楽単やし楽しい。

あとは他学部聴講で法学入門も取ってた。全教の法学と違って法学部生向けやから法学的な考え方を結構知れて刺激的だった。論述試験一本で合否しか出ないから単位取りやすいし。

――なるほど。地理系に興味があるって話やったけど、それはどうだった?

Azu:地理は中学の時からずっと好きだったけど、大学の地理の講義って初学者向けの説明から入るから、中高で地理を極めた人からすると物足りない。でも具体例を扱う各論は色んな場所を取り上げてくれるから旅行気分で楽しい。実際講義で扱ったとこに旅行に行くことがあって、ほんまや~ってなる。

まとめると

情報基礎演習統計入門は役に立つので新入生におすすめ。

神経科学の基礎スポーツ心理学がおもろかった。

・中高で頑張った科目の講義は初学者向けの説明が入るから物足りないけど各論は具体例を知れて面白い。

※2020年度の情報なので2021年度は内容が変更される可能性があります。

履修選びは講義の感想を受講者から聞くのが一番!これはAzu一個人の感想に過ぎないが、色々な先輩や同級生に聞いて悔い無き履修を。

旅行について

――資格取るくらい好きな旅行について聞きたいな。一人旅をよくするみたいやけど、初めて一人旅したのはいつ?

Azu:一人旅ってほどじゃないけど、中学の時に姫路まで行ったのが初めてかな。今は違うけど昔は電車が好きで、行き先に書いてある駅ってどんな駅なんやろって気になった。それが姫路だった。で、段々遠くなって、大学生になってお金を稼げるようになってどんどん規模が大きくなった。遠くに行くと街の景色も文化も違って、もっと色んな所に行きたいって熱がさらに加熱した。

――地理が好きなのと旅行が好きなのは関連してる?地理はなんで好きになったん?

Azu:関連は絶対してるなあ。地理が好きな理由か。奈良って自然豊かやし、古代の街作りから最新の街作りまで全部揃ってるのよ。海は無いけど。だから地理で習ったことが帰り道に見れる。進研ゼミでやった所だ!じゃなくて地理でやった所だ!って。日本史もそうなんだけどね。

――地理と電車好きが興じて旅行を好きになったんやね。新しい文化と景色を見られるってこと以外に、旅行の何がAzuを惹きつけるんだろう?

Azu:今東京一極集中が進んでて、過疎地は観光地がどんどん消えて電車も消えてる。そういう期間限定の景色や文化に惹かれてるんじゃないかな。限定モノに飛びつくおばちゃんと一緒。

――インスタによく一人旅の投稿してるよね。何のために発信してる?

Azu:結構マイナーなとこも行くから、それを紹介したいってのはある。あと、今コロナで旅行の自粛が言われてるけど、旅行自体が悪い訳じゃない。旅行で行った人同士が会話したりするから感染するのであって、一人旅だったら喋る量減るしむしろ感染リスク下がる。だから旅行自体は悪くないってことをSNSを通じてアピールしてる。

――なるほど、さすがは総合旅行業務取扱管理者。

Azu:プライドあんのかな笑

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コロナ禍の大学生活

――結構大人の人に聞かれる、コロナ禍の大学生活について聞かせて欲しいな。コロナ禍は大学生活から何を奪い何をくれたんやろ。

Azu:総人生はキャラが濃いって言ったけど、実際に会わないと分からん部分も多いからそれが無くなったのは大きい。Twitterは相手の表情とか感情が全然分からん。対面じゃないと100%のコミュニケーションってのは中々難しい。

コロナがくれたものとしては、奈良にいながら何でもできるようになったっていうのはでかい。3限5限に講義をオンラインで受けて4限に車校に行けたし。普通じゃできひん。

対面コミュニケーションの喪失とオンライン化による物理的距離の超越。コロナ禍大学生活の功罪はこれに尽きる。

大学の資本とも言える人との出会いの喪失は大変な痛手であり、自宅勢は地元の友達と会うことで寂しさを埋めた人も多いだろう。失って初めて気付く対面コミュニケーションの大切さは、筆者やAzu含め大勢の大学生が実感したはずだ。

だが、コロナ禍がくれたものもある。強制的にオンライン環境が導入されたことによって、これからは色々なことがオンラインでできるようになる。場所に縛られないオンライン環境では、移動時間が浮くだけでなく、それぞれ好きな場所にいながらコミュニケーションができる。

確かに厳しい年だった。だが、環境を嘆いても残るのは不満とむなしさだけだ。正の側面も見つめつつ、何とか生きてる自分を褒めながら、おじいちゃんになったらこのまるでSFのような貴重な体験をふと思い出して笑い飛ばしてしまおう。

 総人って何やねん。

――〆です。総人って何やねん。

Azu:日本人って周りに合わせなあかんっていう風潮でかいやん。だから皆が右向いてたら自分も右向かなあかんっていうのが日本の良いとこでもあって悪いとこでもあると思ってて、そん中で総人っていうのは右向いてる人も左向いてる人も後ろ向いてる人もおって、よう分からん斜め43度くらい向いてる人もいっぱいおる訳やん。皆が365度ばらばらな方向向いてる訳やから、誰が基準とか無い訳よ。皆が違うことしてるから、何か自分とは違う人に対して批判したとしても、自分も他の人と違うことをしてる訳で、批判の対象になっちゃう。だから批判できないし、寛容性とかが身につく。

――なるほどね、右向いてる人が斜め43度向いてる人に向かって「お前違うやん」って言っても「いやお前も違うやん」ってなっちゃうわけだ。

Azu:外に出たら皆が右向いてたら右向かなあかんけど、学部の中だったら右向けって誰かに言われても自分の向きたい方向を向ける。「自分が一番いたい自分でいれる場所」って言ったら一番コンパクトで上手い言い方になるかな。自分がこっち向きたいって方向にずっと向いてられる。結局そこに尽きる気がする。

――変人って言われなくなった話と似てるな。皆が変な方向向いてる。

――Azuは、将来の選択肢を知ってやりたいことを決められるっていう理由で総人に入ったよね。いざ総人って何やねんって聞くと、それより先に先に自分が自分らしくいれる場所っていう答えが返ってきた。この違いはおもろいな。入る前と後ではやっぱり印象は違うよね。

Azu:それはどの大学でもそうなんちゃうかな。入った目的と入ってから気付くことは全然違うってのはどこの大学でもそうやん。それをポジティブに捉えるかネガティブに捉えるかで大学生活全然ちゃうと思う。

――めっちゃ良いこと言うやん。

Azu:結局新しいとこ入ったら、違うなってことは起きる訳であって、それをポジティブに捉えられたら良い方向に行くんちゃうかな。キャンパスライフや!と思っていざ入ってみたらコロナでキャンパスなんてほど遠い存在だったけど、ポジティブに捉えたら結局良いことあるやんって気づけるから。

「自分が一番いたい自分でいれる場所」それがAzuの答えだった。 “普通”が曖昧になった環境で、“普通”に縛られず自分らしく居れる場所。確かに総人はそういう所だ。

最後にAzuが言っていたことも示唆に富んでいる。

人はネガティブな情報に意識が向かいがちである。人間が生き延びる上で、敵が来るとか病気が流行るという生死に関わるネガティブな情報に意識が行った方が有利だからだ。今回のコロナ禍のような不安定な状況ではその傾向が強まる。そんな時こそ、“ポジティブに捉えたら結局良いことあるやんって気づけるから”

 あとがき

1人の同級生に協力してもらい、総人生のリアルを1つ提供できたかなと思う。

新しい、ひと味違うものに強い興味を示すAzu。その強い好奇心に加え高校時代から発揮された行動力。科目も人も多様な総人はAzuにぴったり合っているように思える。そして現状をポジティブに捉える力。特に不安定な今に必要な力である。まだ将来やりたいことは決められていないというが、残りの大学生活で行動を続ける内に、きっと何か自然と決まってくることだろう。

初めてのインタビュー記事。大量の文字起こしから始まり大変時間がかかったが、初めての作業は新鮮で楽しかった。それだけで満足ではあるが、この記事が総人新入生や受験生などに役立てばさらにこれ幸いである。

【実体験】「総合人間学部」とは【京大一の謎学部】

お知らせ

活動拠点をはてなブログからnoteに移行しました!

インドに行って人生が変わってしまった「スパイシーつばさ」もよろしくお願いします!!

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それでは、本記事をどうぞ!

総合人間学部って何だよ

「どこの学部に居はるんですか?」

「総合人間学部です。」

「総合人間学部って何やねん」

総人生として1年過ごし、何度聞かれたか分からない。

総合人間学部、略して総人(そうじん)。僕も受験生の頃はあまりの謎さにネットをサーフしまくったものである。

実際に総人生となった今、僕は総人が大好きになった。そのリアルな魅力を伝えたい。

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まずは結論

先に結論を述べておく。

総人は、「放牧」である。

緩い柵の中で、求めたら与えられ、何もしなければ放置。

文系理系関わらず大体何でも学べ、緩い柵を乗り越えて課外活動も自由にできる。

・2年生までに卒業単位をほぼ揃い終え、BARを起業した人

・数学も物理も哲学も言語も学びまくり、人とも会いまくる超人

・楽単をかき集めて連日連夜遊びまくる人

・色々講義を取り、人と会い、インターンに行き、旅行に行き、ブログを書き、自分を見つめる人(僕です)

色々な総人生がいる。学部内の交流も盛んだ。学部内なのにやってることはバラバラで、刺激受けまくりである。

 

ふんわり書くとこんな感じである。ね、楽しそうでしょ?

興味津々のそこの君のために、もう少し深く総人の世界に踏み込んでみるとしよう。

 

放牧

自由。とにかく自由。それが総人である。

まず、必修科目がほぼ無い。外国語と入門科目、卒業論文などの数少ない必修を除けばあとは個人の自由である。何と「自由単位」という枠さえ存在し、京大で開講されている科目は全てここに入れることができる。

例えば工学部だと時間割のほとんどが必修で埋まることがザラなのだが、総人はやりたい放題である。レールは敷かれない。自ら敷くのだ。

 

文理の壁崩壊

総人では、文系と理系をほぼ同数入試で募集し、一度学部に入ったらその区別が消える。文転するも理転するも掛け持つも自由である。

 

でも、人間について学ぶんでしょ?

「総合人間」の響きから、こう思う人は多い。半分ほど正解である。

総人には5学系といって、要は5つのグループがある。人間について学ぶグループは「人間科学系」と呼ぶ。他にも

・世界の歴史や文化から文明を探る「国際文明学系」

・世界各地の民族や地域の特徴を探る「文化環境学系」

・脳や情報、数学、言語を学ぶ「認知情報学系」

・物理、化学、生物、地学を学ぶ「自然科学系」

が存在し、文系理系問わずより取り見取りである。もっとカッチリとした説明は公式サイトに任せる。

www.h.kyoto-u.ac.jp

いや、多過ぎか?

機械工学だとか薬学とかカバーしきれない学問もあるが、他学部聴講という裏技を使えば総人の範囲外の学問も学べる。

大学側としては、これらの多様な知を網羅することで、専門分野に閉じこもらない幅広い視野を持って、人間を総合的に理解する「総合人間学」を修め、人間にまつわる根本的な問題を解決して欲しいらしい。この意味では「人間について学ぶ」というのも的を射ている。

なんだか難しそうだが、まあこれはあくまで建前。この環境をどう使うも自分次第である。

教員数>学生数!? ストレスフリーな専攻選び

総人では、1・2年生は教養課程とされ、3年生から専攻を選択する。

ここまで聞いて、「あーなるほどね、東大の進振りとか北大の総合理系みたいなもんでしょ」と思ったそこの君、鋭いけど実は全然違う!

文系理系の垣根を簡単に越えられちゃうことがまず違うが、一番違うのはこれである。120人の学生に対し教員は120人を超えている。東大の進振りや北大の総合理系のような点数による厳しい選抜は無く、あっても教授の担当科目を履修したかどうかや、その科目に限った成績で判断される。ザルである。

入学してからここまで自由に専攻を選べる学部は他に類を見ない。広島大の総合科学部くらいである。希少種だ。

www.hiroshima-u.ac.jp

この贅沢なシステムにより、無駄な点数稼ぎなど一切必要なく、やりたいことをじっくり見極めながら専攻を選ぶことができる。ビバ総人!

 

コロナ禍でも!横と縦の繋がりが強い

2020年度入学の僕は、入学した途端コロナ禍で散々な目にあってしまった。

本来は入学後すぐに行われる、上回生と新入生が交わる総人合宿。新入生主体で行うオープンキャンパス。クラスごとに出店する文化祭。それらは全て中止orオンラインとなってしまった。

しかし、総人生自らZOOM交流会を企画したり、鴨川デルタで集まったり、「木曜サロン」と呼ばれる縦コンが開催されたりしたおかげで縦横の繋がりが構築された。

総人生は取る講義がバラバラであることから逆に意識的に交流する傾向があり、そもそもの性分として社交的な人が多い。ネットや本で自学自習できてしまう今、大学の価値は人との出会いにあると言っても過言ではない。同じ場所を目指し互いにそれぞれの方向へと進む総人生同士の交流は大変楽しいものである。

 

総人のデメリット

ここまで総人の魅力を語り尽くしてきたが、このままだとまるで総人教の教祖なので、デメリットも一応挙げておきたい。

自由自由と連呼してきたが、自由は責任の裏返しである。放置プレイが過ぎるあまり特に何もしないまま終わったり、不安に苛まれたりする可能性がある。やりたいと思ったらすぐにやるフッ軽さを持とう。そして不安になった時は、同級生や先輩、教授と話したり、自己分析したり、気晴らしに旅に出よう。生まれつき進路が確定している時代は終わった。自由を生きる良い訓練になる。

また、必修科目がなくカリキュラムが曖昧なため専門性がつきにくい。総人は自由さが売りである。背に腹は代えられない。本当に必要になったら自力で頑張ろう。たくさんいる教授がきっと助けてくれるはず。

そして、総人には専攻の他に副専攻という制度が存在し、専攻以外にもまとまった単位を取る必要がある。総人の学際性を特徴づける制度であるが、無計画に履修していると単位が集まりづらく知らぬ間に留年しかねない。先輩の話を聞きつつ、興味に合わせてうまく乗り切ろう。

 

向いている人

では、どんな人が総人に向いているのだろうか。

  • 学びたい分野が総人にある人

言わずもがな向いているだろう。スポーツ科学認知科学、外国語教育論などは総人ならではの専門分野だ。公式サイトを見て興味ある分野を探してみよう。参考までに教員一覧のリンクを貼っておく。

www.h.kyoto-u.ac.jp

  • 文転理転をしたい人

実際文転者は多く、僕も文転しかけている。理転は受験でついた差を埋めるのに苦労するが、可能だ。実例として、知り合いに文系入試で入って化学を学ぶ人がいる。

  • やりたいことが分からない

僕がそうである。高校生で進路を決断するのは難しい。とりあえず入学して色々やってみてから考えるのでも遅くはない。総人という緩い放牧はやりたいことを決める上で最適である。

  • 人に決められるのが嫌な人

学校から決められることはほとんど無い。人に決められるのが嫌な人にとっては最高の環境である。自ら行く道を決めていくのは苦しみも伴うが有意義である。

  • 行動力がある人

自由すぎるが故に行動しないと始まらない。逆に言えば行動力さえあれば何でもできる可能性を秘めている。大学に入ってから磨くでも良し。

 

まとめ

総人はとにかく自由だ。放牧を楽しもう!

特に「やりたいことが分からない」学生にはおすすめだ。入学してから決められるこの希有な環境は、目指す価値がある。

「暇そうじん」とも言われる総人。その暇を活かしてあなたなりの「楽しそうじん」ライフを!

 

 

(もっと知りたい人は、公式サイトとか口コミとかを調べるのもいいけど、オープンキャンパスに行ったり、学校などのツテから総人生とコンタクトを取ったり、当リンクサイドバーから僕のTwitterに連絡しよう!京大生はツイッタラーが多いので、僕以外のTwitterに連絡するのもアリ。直接人に聞くのが一番!遠慮無用!!!)

 

総人紹介動画

最後に後輩達がオープンキャンパスで創った学部紹介動画を宣伝しておきます!

どれもドラマ仕立てで総人愛溢れる渾身の作品です

ぜひこちらも参考にしてみてください~

 

2021

京都大学総合人間学部紹介ドラマ「What is / Who is 総合人間?」 - YouTube

 

2022

京都大学総合人間学部紹介動画「#総合人間」 - YouTube

 

2023

京都大学総合人間学部紹介ドラマ2023『総人狼』 - YouTube

ブログの春

春が来た

春が来た。底冷えする春である。大学生の春は早い。

京大の春休みは特に長い。2ヶ月丸々休みである。

夏休みは議員インターシップと合宿免許で大体終わった。

hanetatomo-sojin.hatenablog.com


さて、春休みはどうしようか。そんなことを考えていたらフランス人に着物をもらった。

しばらく放置していたブログを思い出す。課題そっちのけで書き上げる。

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楽しい。

やはり、楽しいのだ。

僕は文章を書くのが好きだ。昔からそうだった。小学1年生の夢は作家、中学3年生の夢はライターだった。学級新聞を勝手に発行した。卒業式の送辞を書いた。大学ではこうしてブログを始めた。

また、自己分析をしていると、どうやら私は社交性、活発性、ポジティブ、着想といった才能があるようだ(後日記事作成予定)。人と会って話を聞いたり、旅行や読書などの体験を活発にしたり、皆が気付かない物事のポジティブな面に気付いたり、良いブログネタを思いついたり。全てブログに繋げることができる。自分の「好き」と「得意」がマッチしている。

そして総人をもっと伝えたい。総人はマイノリティ故に情報が少ない。現場からの生の声を届けたい。受験期必死に総人について調べまくった僕のような受験生あるいは新入生に届けたい言葉がたくさんある。ブログならそれを伝えられる。

もうこれはブログを書くしかない。総合人間はねたとも、動きます。

 

何書くの?

ブログ書くぜ!!!という心意義はよしとして、何を書くか。

まずは僕が今いる総合人間学部総人について書きたい。総人とは何なのか、実際入った感想、総人に来た理由。さっき書いたように受験生、そしてこれから総人に来る新入生に向けて届けたい。

旅行についても書きたい。海外に行きたいのはやまやまだがコロナで厳しい。でも国内なら何とか行ける。既にした旅、これからする旅、その感想と気付きを記したい。旅はいいぞ。

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映画やアニメ、本の感想も書こう。読んだだけだとすぐ全部忘れがちである。ブログでアウトプットすることで自分の血肉になる。ブログを書くために積極的に作品に触れられるかもしれない。

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自分史や自己分析などの自分語りもしたい。需要があるかは謎であるが、逆に言えば読ませる自分語りができたら物書きレベルは相当のものである。「ブログ著者の人物像を明らかにするため」とかいえばそれっぽいが、要は自己満である。

そして、インタビューしたい。上回、同回関わらず総人生にインタビューして総人像を浮かび上がらさせるとか面白そうだ(もしインタビューして欲しい人とかいたら言ってね、いないか)。思い切って社会人にインタビューしてみるのもおもしろい。議員インターシップで普段話せないようなお偉いさんと話せたように、大学生という肩書きは使える。生の声でしか分からないことはきっとある。

僕の今の大きなテーマは自己実現である。そのテーマはもしかすると一生物かもしれない。総人で自己実現に邁進する姿を、臨場感を以て楽しんでくれたら幸いである。そのリアリティを以て愛すべき総人の魅力も伝えていく。それぞれの記事にある気付きなんかももしかしたら何かの役に立つかもしれない。

 

春休み、あくまで自分が楽しむことを前提に、ブログを書こうと思う。知り合いと話していると、意外とブログ知ってるよ!と言ってくれる人は多い。大変嬉しいことである。会った時には感想とか言ってくれると超喜んじゃう。そしてこれからは知り合い以外にも届けられるように頑張りたい。ブログの春が来た。

さようならセールでフランス人に着物をもらった話

1月末、遅めの昼食を終え、パリっと肌寒い風邪が吹く中、自転車を転がしていた。

「さようならセール」そんな看板が目に留まる。

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招き入れてくる外国人の女性。急いでいる訳でもなし、入ってみることにした。

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なんだこれは

 

話を聞いてみると、ここは閉店するマッサージ屋さんらしく、この女性はフランス人のオレリーさん。マッサージ屋店主のガールフレンドらしい。ここは住居でもあったらしく、引っ越す際に圧倒的断捨離をしたかったという。ただ捨てるのももったいないので、「さようならセール」と題して皆にプレゼントしているという訳だ。セールとは?

ボウル、菜箸、フライ返し、グラス・・・。所狭しと置かれる日用雑貨にはここでの暮らしの面影が残されていた。だが、どうにも不可解なものがある。この写真だと見づらいが、たくさんの着物が隅に置かれているのだ。どうやらこのフランス人、着物屋さんを経営しているらしい。

「最近の若い人はもっとふざけていいと思う」

オレリーさんは言う。最近の若い人はユニクロばっかり。確かにユニクロは安くて洗練されているが、皆同じでつまらない。もっと日本の伝統的な着物着ればいいのに。そう言いながら色んな着物を見せてくれた。どれか好きなやつを一着くれるという。悩んだ末、シルク100%のこの着物にした。

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この着物、なんとリバーシブルである。

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かっこいい。普段着に羽織って使うのもありだそうだ。吉田神社の節分祭にでも着ていこうか。

オレリーさん優しすぎるしおもろい。「コロナで大学大変だねえ」「京都どう?」「着物屋も儲らなくて大変よ」「だから最近は海外に輸出してるの」だなんていうたわいも無い話をしながら、インスタを交換した。合宿免許で連絡先を交換するために始めたインスタだが、やはりこいつ有能である。

帰り際に「日本文化は若者が受け継がなくちゃ。消えちゃうよ。」と悲しみと希望がこもった目で言われた。この台詞を外国人に言われることに違和感を感じたが、京都にいるとあまり観光地に行かないのと同じように、日本のことは外国人の方が敏感なのかもしれない。まあ僕には少々荷が重い話だ。coolな着物を羽織りつつ、こうしてブログを書くぐらいでとりあえず良かろう。

余談

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まくらももらった。話を聞くと飛行機で席から取れちゃってそのまま持って帰っちゃったらしい。誰か泊まりに来たらどうぞ。

 

 オレリーさん経営の着物屋さんはこちら

www.tripadvisor.com

 

北海道旅行記【スマホを忘れて三百里】

早朝4:50、インターホンから流れてくる友達の罵声がその日の目覚ましだった。

慌てて着替えて家を飛び出す。パンを咥える余裕など無い。

水筒を持った、モバイルバッテリーも持った。準備は万端である。

そう、スマホを除けば

充電を繋ぐ方を忘れてどうする。

気付いた時には時既にお寿司。予期せぬ3泊4日デジタルデトックス北海道旅行の始まりである。いざ、Go To 北海道!

 

1日目

時は夏休み最後。9月末。

Go To キャンペーンに感謝して、贅沢に飛行機で向かう。飛行機に乗るのは幼少期以来。どんどんぢめんがはなれていく!とばかりに大興奮。人間ってすごいね。

 

北海道での移動手段はレンタカー。僕は旅行の2日前に免許を取得したホヤホヤドライバーであったが、友達と分担しながらさっそく美瑛の四季彩の丘へ。日本とは思えぬ広大な農地が一面に広がる中、道を真っ直ぐ突っ切る。単調な道だったので、何とか耐えた。ドライブ、楽しいじゃないか。

 

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この規模感である。でっかいどう。

 

夜は温泉旅館に宿泊。これまた久しぶりである。温泉につかり、たらふく飯を食い、夜はトランプに興じる。そして朝早く起きて朝風呂に入り、バイキングでご飯を食べる。温泉旅館の過ごし方の模範解答ではないか。

 

2日目

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青い。温泉の成分であるアルミニウムが原因だそう。枯れた木と異常な色の池のコントラストがディストピアを想起させる。終末の世界ってこんな感じなのだろうか。

 

さらに旭山動物園へ。

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展示がほぼ全て手書きという手の凝りよう。デジタル化が進む今だからこそ逆にこうしたアナログなものが目立つよね。

ただ「かわいい」とか「かっこいい」だけで終わらないのがこの動物園の面白いところ。アザラシの展示には、アザラシが人間の食料である魚を食べてしまうため、害獣と呼ばれて駆除されていることへの疑問が書かれていた。またエゾジカの展示には、エゾオオカミを家畜保護のために開拓使が殺してしまい、エゾオオカミの獲物であるエゾジカが増え、畑が食い荒らされてしまう話が書かれていた。

アイヌの言葉にこんなものがあるという。

「富を貯めるとは、各人の倉にモノを貯めることではなく、大地の豊穣な自然を豊かにし、自然の中に富を貯めることをいう。」

目先の富に囚われ自然を蔑ろにすることの愚かさを説いているのだが、SDGsが叫ばれる現在にも通じるものがある。

 

さらに車を飛ばし層雲峡の「銀河の滝」「流星の滝」へ。日本の滝100選にも選ばれている100m級の崖は圧巻である。

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事実は小説より奇なりとか言うけど、自然は人工物より奇なりだなと北海道に行くと強く思う。

 

夜はジンギスカン

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ジン、ジン、ジンギスカン♪北海道に行くなら腹に入れるべし。

 

3日目

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札幌へ。市場で海鮮丼を食す。魚を選んでそのまま裁いて貰い刺身にしてもらったりもした。

 

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Boys be ambitious!

 

夜は回転寿司へ。コロナの影響で回っていなかったが、逆に握り立てで美味い。

4日目

さぁ後は帰るだけである。旅の〆は新千歳空港の一幻。

 

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美味い!

さぁ帰ろうと飛行機のカウンターに行くと・・・

「チェックインの受付は終了しました。」

え?

「チェックインの受付は終了しました」

 

出発時刻の20分前に着いたのだが、どうやら30分前に着かなければいけなかったらしい。飛行機厳しいよぉぉおお。

 

結局その日空いてたANAに乗り、25000円の出費をたたき出し、Go Toキャンペーンの割引分は帳消し。25000円の一幻は美味しかったなあ!

まとめ

結局Go Toキャンペーン無しの値段になってしまったが、本来の目的である経済を回すことはできたので良いとしよう。(いや、良くない。さすがにやばすぎてバイトを始めた。)

スマホを忘れたと気付いた時には真っ青になったが、こう旅行記を書いてみるとほとんど不自由が無かった。Googleマップを使ったり、連絡を取り合ったりする必要はあるのだが、友達が持っていれば何とかなるものである。来ていたLINEも「学食って土曜日空いてる?」と「生きてる?」くらいのもので、特に問題は無かった。いやそこはちょっと問題あって欲しかったが。

それ程そんなに必要無いのに日々スマホを手にしているのはやはり無駄な時間も多いのだろう。旅中、不思議と何事にもやる気が出てイキイキした。だが、そもそも旅にスマホはあまり使わないものらしく、友達もあまり使ってはいなかった。だから旅の時は安心してスマホは忘れて良い。

災難もあったがそれもご愛嬌。日本ながら異世界を体で実感できた。

夏の北海道は今も心の中に広がっている。

議員インターシップ 感想

怪しげなDM 

「議員インターシップに参加しませんか?」

 

 ふいに届いたTwitterのDM。僕はその怪しげな誘いに乗り、人生の夏休みの夏休みを議員インターシップに捧げた。だが正直情報が少なく怖かったため、ここに体験談として載せ、1つの情報源にしてもらえたらと思う。読み物として読んでもらっても勿論構わない。

 

議員インターシップとは?なんで参加したの?

 議員インターシップとは何か。1人の地方議員の所へお邪魔し、仕事の手伝いをしながら政治の中身を知ったり色んな社会経験を積んだりしようというものだ。中でも30年後の理想の未来に向けて政策を考えるコンテスト「未来国会」がメインとなっている。このインターン、なんとこちらがお金を払う側でかつ100時間も活動しないと修了できない代物なのだが、理文系総合人間として、両方の知識を必要とする政治への興味、社会人・学生との出会いに惹かれて応募してしまった。本当は海外に行きたかったがコロナで行けず、やることを探していたのもある。いやまあぶっちゃけて言えば大学デビューを決めて彼女を作るはずが作れず暇だった。何ならここで彼女を作れないかとすら思っていた。

 

待ち受けるは泥臭さ

 こんな不純な動機が混じっていた天罰なのか、事務所のメンバーは全員京大男子。悲しみに打ちひしがれていると待っていた最初の仕事はなんとチラシのポスティング。しかもこの日の最高気温は36℃。灼熱地獄である。「こっちが金払ってるんだぞ!!!」と悪態をつかずにはいられない。どうやら僕はとんだ地獄に足を踏み入れてしまったようだ。しかしこれにはちゃんと意図があったらしく、地方政治が思われている以上に地道な作業であること、投票基盤となる事務所近辺を歩くことでその街のことを知ることができた。

 

 他にも地道な作業は続く。翌日はひたすら封筒にチラシを折り込む作業。こちらはクーラーの効いた部屋でできるだけ幾分マシであったが、単純労働には変わりなく、不満たらたら。何とか作業を終えるも、チラシの枚数が計算に合わない。封筒とチラシの枚数を揃えてから折り込む作業を怠ったためである。僕たちは封筒1つにチラシが1枚入っているかどうか秤を使って500通全部調べることになってしまった。なんでこんな面倒なことをするんだ、1通くらいどうでもいいじゃないかと思ったが、議員さんにこう言われてハッとした。「政治家自身は大勢の市民に向けて仕事をしているから1人くらいどうでもいいと思ってしまうが、市民1人にとってその政治家は1人だ。こっちにとっては500か499かでも、向こうにとっては1か0かだ。」確かにビラが届くか届かないかなど些細な違いかもしれないが、1人1人の暮らしを左右する政治家の哲学は実体験を以て身に染みた。

 

 このインターンに参加する前、「議員」と聞くと、パソコンの前で政策を練り、議場の場で演説する姿を思い浮かべていたのだが、実際の仕事は想像を遙かに超えて泥臭く、地味であった。ポスティング、郵送、街頭でのビラ配りといった5Gの時代にまさかの紙媒体での地道な広報。選挙期間外でも顔を知ってもらうために朝の街頭活動。選挙期間中は他の議員に場所を取られないように徹底的に早起きして場所を制圧。雨にもマケズ風にもマケズ1軒1軒家を訪問して投票を依頼。事務所に近所のおばちゃんが来れば悩み相談に乗り、地域に密着。こうした政治家の実態は実際に中に潜入しないと中々見えない部分であり、収穫であった。選挙で敗れれば無職という厳しい世界で生き残るため、泥道の中をかき分けて進むかのような地味な作業の連続をこなす姿には尊敬を抱かざるを得ない。

 

政治家はお金のために仕事をしてはいけない

「政治家はお金のために仕事をしてはいけない。」

 

 議員の印象的な発言の1つだ。もらえるお金は既に決まっており、仕事をして出費すればするほど減っていく。仕事をたくさんしてももらえるお金は増えないばかりか減っていくのである。だからお金のために政治をしてしまうとどこかで歪みが生じて、僕たちが度々見かける汚職などに繋がってしまう。市民から受け取った信頼を背負ったからには世の中のために働かなければならない。議員自らが給料を削減しようとする姿を見て疑問を感じていたのだが、その裏には政治家の徹底した利他の精神があった。こうした信念を持つ政治家が集まれば、国の未来は明るい。

 

俺を誰やと思ってるんや

 そして最も印象的だった発言はこれだ。冒頭で述べた政策コンテスト「未来国会」で締め切り目前で手詰まりかけた時に助言を請い、劇的に解決したことがあった。「さすがですね。ありがとうございました。」と言ったらこう返ってきた。

 

「俺を誰やと思ってるんや」

 

 その確かな自信に裏付けられた一言に痺れた。議員は身近な災難から世の中に強い憤りを抱え職を転じ政治家となった。1から積み上げたその実力と実績と誇りがその一言に詰まっているようにみえた。僕は将来こうして胸を張っていられるだろうか。30年後の理想の未来がそこにはあった。

 

議員インターシップという選択肢

 こうした様々な気づきの他、ダムを海と勘違いして生育してしまったアユの話を聞きに山道をドライブしたり(ついでに川遊びした)、未来国会の案出しのために博物館を回って久方ぶりの社会科見学をしたりと外にも度々出掛け、大変濃い時間を過ごすことができた。議員はこうした遠征のためだけにわざわざ軽自動車まで購入してくださった。圧倒的感謝である。

 

 総じて議員インターシップは金と時間をつぎ込む価値があったと僕は思う。もちろんこれは一議員の例であり、他の議員のことを詳しく知らないので何とも言えない部分はある。だが少なくとも僕は実体験に基づく濃い学びを得ることが出来た。無駄に過ごしてしまいがちな夏休みを充実して楽しめ、友達もできた(彼女はできなかった)。長い夏休みの1つの過ごし方として存分にアリだと思う。大学生の夏休みは最強なので、インターンをしても尚充分遊んだり合宿免許に行ったり旅行もできた。

 

で、お前はどうするの?

 最後に、このインターンで僕が政治家になりたいと思ったかどうかを書いて終わる。一応政治に興味がありこのインターンに参加した訳だが、結論としてはすぐに政治家になろうとは思わなかった。大きな予算を使い世の中を変えることのできるやりがいに満ちた仕事ではあれど、世の中を変えたいという強いエネルギー、徹底した利他的な精神が要求され、まだ僕にはそこまで世に尽くせないと感じた。だが、大学で思う存分好きなことをし、卒業後一定期間を経て経験を積み、世の中を変える強い動機を経たその時、このインターンで目にした輝かしい議員の後ろ姿を思い出し、政治家を志すことはやぶさかではない。

 

 最後の最後に、お世話になった議員に感謝と敬意を込めて。

internship.dot-jp.or.jp