北海道旅行記【スマホを忘れて三百里】
早朝4:50、インターホンから流れてくる友達の罵声がその日の目覚ましだった。
慌てて着替えて家を飛び出す。パンを咥える余裕など無い。
水筒を持った、モバイルバッテリーも持った。準備は万端である。
そう、スマホを除けば。
充電を繋ぐ方を忘れてどうする。
気付いた時には時既にお寿司。予期せぬ3泊4日デジタルデトックス北海道旅行の始まりである。いざ、Go To 北海道!
1日目
時は夏休み最後。9月末。
Go To キャンペーンに感謝して、贅沢に飛行機で向かう。飛行機に乗るのは幼少期以来。どんどんぢめんがはなれていく!とばかりに大興奮。人間ってすごいね。
北海道での移動手段はレンタカー。僕は旅行の2日前に免許を取得したホヤホヤドライバーであったが、友達と分担しながらさっそく美瑛の四季彩の丘へ。日本とは思えぬ広大な農地が一面に広がる中、道を真っ直ぐ突っ切る。単調な道だったので、何とか耐えた。ドライブ、楽しいじゃないか。
この規模感である。でっかいどう。
夜は温泉旅館に宿泊。これまた久しぶりである。温泉につかり、たらふく飯を食い、夜はトランプに興じる。そして朝早く起きて朝風呂に入り、バイキングでご飯を食べる。温泉旅館の過ごし方の模範解答ではないか。
2日目
青い。温泉の成分であるアルミニウムが原因だそう。枯れた木と異常な色の池のコントラストがディストピアを想起させる。終末の世界ってこんな感じなのだろうか。
さらに旭山動物園へ。
展示がほぼ全て手書きという手の凝りよう。デジタル化が進む今だからこそ逆にこうしたアナログなものが目立つよね。
ただ「かわいい」とか「かっこいい」だけで終わらないのがこの動物園の面白いところ。アザラシの展示には、アザラシが人間の食料である魚を食べてしまうため、害獣と呼ばれて駆除されていることへの疑問が書かれていた。またエゾジカの展示には、エゾオオカミを家畜保護のために開拓使が殺してしまい、エゾオオカミの獲物であるエゾジカが増え、畑が食い荒らされてしまう話が書かれていた。
アイヌの言葉にこんなものがあるという。
「富を貯めるとは、各人の倉にモノを貯めることではなく、大地の豊穣な自然を豊かにし、自然の中に富を貯めることをいう。」
目先の富に囚われ自然を蔑ろにすることの愚かさを説いているのだが、SDGsが叫ばれる現在にも通じるものがある。
さらに車を飛ばし層雲峡の「銀河の滝」「流星の滝」へ。日本の滝100選にも選ばれている100m級の崖は圧巻である。
事実は小説より奇なりとか言うけど、自然は人工物より奇なりだなと北海道に行くと強く思う。
夜はジンギスカン。
ジン、ジン、ジンギスカン♪北海道に行くなら腹に入れるべし。
3日目
札幌へ。市場で海鮮丼を食す。魚を選んでそのまま裁いて貰い刺身にしてもらったりもした。
Boys be ambitious!
夜は回転寿司へ。コロナの影響で回っていなかったが、逆に握り立てで美味い。
4日目
さぁ後は帰るだけである。旅の〆は新千歳空港の一幻。
美味い!
さぁ帰ろうと飛行機のカウンターに行くと・・・
「チェックインの受付は終了しました。」
え?
「チェックインの受付は終了しました」
出発時刻の20分前に着いたのだが、どうやら30分前に着かなければいけなかったらしい。飛行機厳しいよぉぉおお。
結局その日空いてたANAに乗り、25000円の出費をたたき出し、Go Toキャンペーンの割引分は帳消し。25000円の一幻は美味しかったなあ!
まとめ
結局Go Toキャンペーン無しの値段になってしまったが、本来の目的である経済を回すことはできたので良いとしよう。(いや、良くない。さすがにやばすぎてバイトを始めた。)
スマホを忘れたと気付いた時には真っ青になったが、こう旅行記を書いてみるとほとんど不自由が無かった。Googleマップを使ったり、連絡を取り合ったりする必要はあるのだが、友達が持っていれば何とかなるものである。来ていたLINEも「学食って土曜日空いてる?」と「生きてる?」くらいのもので、特に問題は無かった。いやそこはちょっと問題あって欲しかったが。
それ程そんなに必要無いのに日々スマホを手にしているのはやはり無駄な時間も多いのだろう。旅中、不思議と何事にもやる気が出てイキイキした。だが、そもそも旅にスマホはあまり使わないものらしく、友達もあまり使ってはいなかった。だから旅の時は安心してスマホは忘れて良い。
災難もあったがそれもご愛嬌。日本ながら異世界を体で実感できた。
夏の北海道は今も心の中に広がっている。